2023.05.01 川崎市某所調査
前日から連続でイモムシ先生と昆虫班の皆さんでイモムシ調査でした。午前9時に最寄りの駅に集合し、現地に徒歩で向かいました。
先生から「昼間は落ち葉に隠れている夜行性のキリガの幼虫がいるので探してみましょう」とみんなで落ち葉をガサガサ。目的の幼虫はいませんでしたが、ひこばえにいた珍しいキリガの幼虫を見せていただきました。
専門家の方から、これはコマユバチか寄生バエに一次寄生されたゾウムシにヒメバチが二次寄生する瞬間と教えていただきました。とても貴重な瞬間だとのこと。
ちなみにゾウムシはツノヒゲボソゾウムシ、ヒメバチはフタオヒメバチの一種だそうです。
朝9時から18時までみっちり歩き観察したので、帰りの駅までの道のりが遠かったですが、2日間春のイモムシを観察出来たので、大変勉強になり、イモムシレベルがグンと上がった気がしています。
また来年観察するのが今から楽しみです。
2023.04.30 生田緑地調査
この日は11時から観察会の予定だったのですが、あいにくの空模様。8時に現地に着き、駐輪場からほど近いミズキの葉を見ると
LINEの通知を見ると、イモムシ先生も到着したとあったので、駐車場へ向かい合流。とりあえず観察会で見る予定の中央広場へ向かいます。
葉を綴るタイプのイモムシで数は多いのですが、コツがわからないと見つけづらいイモムシです。
オオシマカラスヨトウとナンカイカラスヨトウを見分けるコツを、先生に聞きながら、実際にアジサイに付いている幼虫を見比べてみました。
そしてこちらがナンカイカラスヨトウです。
あじさい山の藤棚でキシタバの幼虫を探してみようとなり、フジの蔓を満遍なく見ていくと。
まだ3cmほどで小さい個体しかいませんでしたが、それなりの数が見られました。
スダジイ群の方へ移動していると、観察会中止の報が。
僕と先生はそのままスダジイ観察へ。
他の昆虫班の方たちも到着し、科学館に来たとのことなので僕らも一旦向かうことにしました。
科学館の調査室で先生にイボタガの幼虫をいただきました。
エサはトウネズミモチを与えていました。
お昼ご飯を食べて後半戦です。
科学館脇にあるハゼノキが丸坊主。犯人は?
ハゼノキ向かいの花壇にアケビとフジの蔓が混在していました。。
イモムシ先生によると、ここでは中々見つからない幼虫のようです。秋に見られる成虫が楽しみです。
チャエダシャクは白い連なった紋が特徴で、シマカラスヨトウは白い横線が特徴的です。
ほぼ丸1日いたので、それなりの昆虫が観察出来、実りのある1日となりました。
今年は季節の進みが10日ほど早く、幼虫たちも終わっている種が多かったようですが、それもまた記録で、来年の同じ時期がどうなるのか楽しみです。
秦野観察会
今日は秦野市にある某所へ観察会に行って来ました。
色々な植物が植栽され、樹名板がちゃんと付いていたり、ひこばえや胴ぶきが良い感じに残されていて、観察しやすく整備されている印象でした。
この画角でわかった方は素晴らしい感性です。
ではもう少し近づきます。
これはオオトリノフンダマシという蜘蛛の卵嚢です。
この中に小さな幼体が沢山越冬していることでしょう。
もう1つ同じ蜘蛛繋がりで観察した物をご紹介。
この卵嚢の蜘蛛は「マメイタイセキグモ」という日本七大珍種蜘蛛の一種なのです。珍しすぎて成虫に会う機会は今後無さそうですが、今回卵嚢だけは拝むことが出来ました。
蜘蛛の擬態力も中々素晴らしいものがありますね。
2023.03.05 神奈川県秦野市
地元緑地 秋の冬夜蛾 後編1119~1128
さて後編トップバッターは蛾ではなく、カメムシ目の昆虫です。
いる場所はかなり前から把握していたのですが、大きさがわからないのもあり3回見ても気づかず、4回目にしてようやくわかった擬態のスペシャリストです。
夜間撮ったように見えますが昼間に撮っています。マクロ撮影の本気モードはいつ撮ってもこんな感じに撮れてしまうのがネックな所です。(そのかわりブレずに小さい物を撮れるのですが…)
この日(11/19)の夜は虫友秀星くんと彼の虫友の女子大生も一緒に日暮れから20時くらいまで散策しました。
ハンノキ林にあるクワの木でクワコの繭を探していた時、女子大生の子が見つけてくれたのがこちら。
幼虫はエノキで見たことがありましたが、成虫は初めてでした。
話ながら歩いている時、足元の葉に違和感を感じ一度は通り過ぎたけど、やはり見ておこうと戻って見つけた個体。7mmほどの幼虫です。キマダラテングイラガかウスイロテングイラガのどちらかのようですが、今の所幼虫では判断できないそうです。
11/19のあとは一週間空き11/26に伺いました。
最高気温は16℃、最低気温が10℃と少し下がって来ましたが、まだまだ暖かいですね。
この日のトイレはニトベさんが大発生。全部♂のようでしたが、なんと14個体もいました。他にはウリキンウワバとカバエダシャク。ケンポナシにはまたアケビコノハの姿も。
高い位置のキリガは撮れないので、棒や網でトントンと叩き死んだふりをして落ちて来た所を撮っています。赤い実はイイギリの種子です。
シラカシの樹液が枝から染み出ているポイントがあり、この日はそこが良かったようで数多くのキリガが見れました。
この他にもカシワキボシキリガやキシダモンキリガ、ノコメトガリキリガの姿もありました。
2日後の11/28。トイレ前の若い桜の樹にノコメトガリキリガが数頭見られました。
トイレにはカバエダシャクの雄が2頭、チャエダシャク、ニトベエダシャクが6頭。
近くのサザンカの花には大きめのヤガの姿が。
どこ行った~?とライトを照らし探していると、何か他の蛾っぽいのが地面に落ちて来ました。
シラカシのポイントへ移動すると、途中のイロハモミジに違和感。
この日は途中のコナラの樹液でもキリガの姿が見られました。
キシダモンキリガとノコメトガリキリガもこのコナラに来ていました。
ヒサカキの実には相変わらずカシワオビキリガとノコメトガリキリガが多く見られ、シラカシの樹液にはカシワキボシキリガが6頭、ノコメトガリキリガ、ハンノキリガ、ヨスジノコメトガリキリガ、フサヒゲオビキリガ。
帰り道バス停の蛍光灯に何か来ていないかな?と見ているとマエアカスカシノメイガやツマジロエダシャクが見られ、羽化したてのエビガラスズメもいました。
後編はいちようここでお終いに。もう1日観察に行っている日がありますが、長くなってしまうのと新しい種は見つからなかったので。
11/6から始めた冬夜蛾(キリガ)観察。11/28までに見られたキリガをまとめると
・ノコメトガリキリガ
・ナカオビキリガ
・ケンモンモドリキリガ
・キバラモクメキリガ
・キシダモンキリガ
・カシワキボシキリガ
・ミツボシキリガ
・ヨスジノコメキリガ
・フサヒゲオビキリガ
・クロチャマダラキリガ
・カシワオビキリガ
・ハンノキリガ
・ハネナガモクメキリガ
・アオバハガタヨトウ
・ナワキリガ
・チャマダラキリガ
の16種になりました。
もしかするとスギタニモンキリガもいたのかもしれませんが、確信を持てる個体がいなかったので春にかけての楽しみにとっておこうと思います。
次はフユシャク観察が始まります(^^)/
神奈川県川崎市i
地元緑地 秋の冬夜蛾 前編1109~1116
体調をここ1週間かなり壊していて(今も良くないけど)何もする気が起きず、普段観もしないドラマ(2017年放送の「カルテット」)を一気に観たり、久しぶりに自分のブログを2月から振り返っていたら、意外とちゃんと書いていて読み返すとこんなことあったなーと、書いていて良かったことがあり、書こう書こうと思って延びてしまった、11月の秋キリガ観察をだらだらと思い返しながら書いて行こうと思います。
この時期は「冬夜蛾(キリガ)」というよりも、地元のヒメヤママユに2年ぶりに会いたくて夜を徘徊していました。メインはそちらであり、あくまで冬夜蛾はデザート感覚。今日は(12/15)寒波がやって来ていて最低気温2℃、最高気温も10℃くらいですが、11/9は最高気温こそ18℃でしたが最低気温は12℃。夜間も今の最高気温くらいの暖かさです。
この日は地元の虫友蘭丸さんと待ち合わせて、西口のトイレからグルっと緑地を1周回ったにも関わらず、ヒメヤママユどころではなく、キリガのポイントもイマイチ把握出来ていなくて、出会えたのはキイロヒラタヒメバチとフサヤガくらいだったのを覚えています。
続けて11/14。この日からちゃんとメモ帳にメモを取りながら観察し始めています。(最初からやってくれ)前日の夜に11月初の雨が降り、この日は曇り最高気温は18℃、最低気温は15℃と高め。それが蛾たちの羽化を促したのか、トイレの灯りにも多数の蛾がやって来ていました。
「ニトベ」と付く蛾は結構いますが、多分どれも新渡戸稲造さんの従兄弟にあたる新渡戸稲雄さんへの献命です。(リンゴの害虫を研究したそうです)
同定が難しいキンウワバもエゾギク、ウリキン、キクキンはわかるようになりました(笑)
結局ケンモンミドリキリガには今シーズンこの日しか会うことが出来ませんでした。1年でチャンスがたった1回しか無いのも、また魅力の1つなのかも知れませんね。
そして今シーズン最も興奮した出会いがこの後起きたんです。
「ケンポナシ」という樹をご存じでしょうか?聞き慣れない樹木ですよね。僕もとある方のブログで初めてその存在を知り、果実がとても面白い形をしていて更に食べられるという事を知りました。地元の県立公園にはその樹があるという情報だけ知っていて、実際見たことがなく、この時期になるとその特徴的な果実を目印に探していました。しかし全く見つけることが出来ず諦めていたのですが、なんとこの夜周りをしている時にその果実が沢山落ちている場所をこの緑地内で見つけたのです。
果実をパキッと折ってみるとまさに梨の香りがします。実際舐めてみましたが甘いです。しかし見つけた時はまさかこの果実に蛾が吸蜜しに来るとは想像もしませんでした。このケンポナシの実が落ちている先にサザンカの花が咲いているポイントがあるのですが、そこへ向かう最中ふと振り返ると、シロダモに引っかかっているケンポナシの実に何かがくっ付いていることに気が付きました。(夜蛾は総じて複眼がライトの光を反射するのでそれで気づく事が僕は多いです)
羽化したばかりと思われる美しい個体のアケビコノハに圧倒されてしまいました。藪の中でしたが、もうわけもわからないまま横たわり、前から後ろから撮らせてもらいました。
この実にはかなり魔力があるようで、この後2時間ほど散策して戻って来ても、まだ同じ所で吸っていました。
このゴンズイの樹にはムクゲコノハもいたのですが、遠くて撮れず、一度網に入れようとしましたがあえなくロスト。あとで伺ったのですが、どうやらゴンズイに沢山付いているゴンズイノフクレアブラムシというアブラムシから出る蜜を吸いに来ていたのかもしれません。
少し前までは「ヤマノモンキリガ」という和名だったようですが、蛾類学会の岸田泰則さんが発見した種のようで、最近になり和名が変更されたそうです。
類似種にスギタニモンキリガがいます。
このトイレ脇のイロハモミジの葉裏でノコメトガリキリガ、キバラモクメキリガ。アワブキの葉裏でヒメノコメエダシャクを見た後帰り道で
普段良く見かけるウスキツバメエダシャクですが、11月はこの1回のみの出会いでした。普通種ですがとても美しいエダシャクだと思います。こういう種は疎かになりがちで、幼虫もちゃんと同定出来ませんし、奇主植物もちゃんと理解していないのでダメだなぁと自分への戒めになります。
前編ラストになる11/16。この日から最低気温が10℃を下回り始め、ウスタビガが出始めないかなぁとひたすらルッキングしながら夜歩き回っていました。
まず恒例のトイレにいた初見の蛾から。
クロホシフタオかな?と思ったのですが、イモムシ先生に南方種で最近北上しているミナミクロホシフタオの方ですよと教えて頂きました。
この日のケンポナシにはハガタクチバがいましたが、高かったのと場所が悪かったので撮るのを断念。コロギスの幼虫も見かけました。(食べにきてたのかな?)
お山のソメイヨシノの枝先に何か違和感を感じ近寄ると、フユシャク!?と思い撮ってみたらまさかの…
この後見られるキリガに比べるとまだまだ物足りない内容なのですが、見返すと色々見たなーという印象です。
後編へ続く
神奈川県川崎市i
地元緑地夜回り 2022.11.06
地元でヒメヤママユに初めて出会った2年前の日付を見返すと11/6とあったので、この日からヒメヤマを探す夜回りが始まりました。丁度晩秋のキリガも発生する頃だし一石二鳥。(しかしここから始まる事をこの時の僕はまだ知りません…)
ヒメヤママユの幼虫は中々な広食性で、基本的にサクラを好む気がしていますが、僕の地元ではカツラ、エゴノキ、ドウダンツツジ、アケビなど色々な植物で幼虫を見つけたことがあります。(まだ何かあった気がするけど思い出せません。)
あと幼虫は蛹化する際、葉に繭を作るのではなく、降りて潜るタイプだと思っています(飼育の経験上)。なので外灯周りが出来ない今となっては、ルッキングで垣根などに止まっているのを探すか、サクラの枝などに止まっているのを探すしかないかなぁと思っています。
前置きはこのくらいで、この日は珍しく東口から枡形方面へ登り始めました。
幼虫が樹液を舐めているのは初めて見た気がしますが、非常食なのでしょうか。
この時期良く見かける大きめのエダシャクですが、ヒメノコメとオオノコメという種がいます。同定のポイントがいくつかありますが、この子はヒメノコメの♂だと思います。キブシの葉を食べるようで、旧名は「キブシノコメエダシャク」。
ここのシラカシの枝から出る樹液は何故かヤガ科の蛾がよく集まります。幹から出る樹液は好まないようで、必ず枝にいるのです。去年気づいたのですが、この日は去年と同じノコメとナカオビキリガが数頭来店していました。
この後もルッキングで探すも追加は得られず、、
渋めの夜回りになりました。
外灯が1つで良いので欲しいです。。