tame insect diary(仮)

生物多様性とは何か?植物や虫を観察し、探求する親子の日常を綴る

2023.05.01 川崎市某所調査

前日から連続でイモムシ先生と昆虫班の皆さんでイモムシ調査でした。午前9時に最寄りの駅に集合し、現地に徒歩で向かいました。

入口からコナラやシラカシの雑木林。

先生から「昼間は落ち葉に隠れている夜行性のキリガの幼虫がいるので探してみましょう」とみんなで落ち葉をガサガサ。目的の幼虫はいませんでしたが、ひこばえにいた珍しいキリガの幼虫を見せていただきました。

最初に見つけたのは川崎市では珍しいミスジキリガの幼虫。
勿論僕は初見でした。

 

クヌギの胴吹きにトゲアリが。良く見るとアブラムシがいました。

脱ぎたてのカシワマイマイクヌギの葉上に。

スイバの花にいたのは、まだ小さなキバラモクメキリガ。

サクラのひこばえを見ていると、小さなクチブトゾウムシに寄生バチが襲いかかっていました。

専門家の方から、これはコマユバチか寄生バエに一次寄生されたゾウムシにヒメバチが二次寄生する瞬間と教えていただきました。とても貴重な瞬間だとのこと。
ちなみにゾウムシはツノヒゲボソゾウムシ、ヒメバチはフタオヒメバチの一種だそうです。

シラカシの幹にマダラマルハヒロズコガの蓑があちらこちらに。

地面を歩いていたピンク色のシャクガはシロオビフユシャクの前蛹。

サクラの葉を綴っていたアカバキリガの幼虫。成虫と共に格好良い蛾です。

クヌギカメムシも成虫になっている個体がちらほらと。

サルトリイバラには多くの食痕が見られ、捲るとルリタテハの幼虫がいます。

小さなマミジロハエトリに見つめられました。

サルトリイバラを見ていると葉上で綺麗なクロムネアオハバチがアリ(クロオオアリ?)を肉団子に。

シラカシの樹皮でオオワラジカイガラムシが交尾をしていました。
体型の違いがとても不思議です。

ヌルデを食べていたシロテンエダシャク。背面の黒点がワンポイント。

コナラの葉でせっせと揺籃作り中のアシナガオトシブミ。

笹で営巣していたオオギンスジハマキが丁度羽化していました。

コナラの葉を綴っていたサカハチトガリバ。ポップな配色の幼虫です。

こちらもポップなミツボシキリガの幼虫。エノキの葉を綴ります。

サクラの葉裏に3齢のヒメヤママユ。この配色の頃はとても見つけやすいですね。

隣のコナラの胴吹きにヤママユ。実は野外で見つけたのは初めてでした。

雰囲気良い所にいてくれたクロハネシロヒゲナガ♂。

終齢の個体が目立つ中、スイバの花にまだ小さなアヤモクメキリガがいました。

エノキの隣のコナラにヒオドシチョウ前蛹。
1つあると沢山見られるはずですが、この日はこれしかありませんでした。

コナラの葉裏にいたアカスジアオリンガの幼虫。
リンガ亜科の幼虫はちょっと個性的な尾脚。

レッドロビンの木陰にキムジノメイガ。

ヒラっと飛んで来たダイミョウセセリと

クロヒカゲ。良く見られる普通の蝶ですが、眼状紋の周りに何とも言えない輝きがあり、とても好きな蝶です。

ミツバツツジの葉にいたシラオビキリガ。

背面に2連の白紋が並ぶハスオビエダシャク。

今年初見のトビモンオオエダシャクは手すりの上をお散歩中でした。

初となる「キバガ科」の幼虫フジフサキバガ。

イモムシ先生もたまに忘れることがあります。大きい尺取虫でしたが種名わからずじまい。

アケビの蔓に髑髏顔のヒロバトガリエダシャク終齢幼虫。

コマユバチに寄生されてしまったオオトビモンシャチホコの群生。全てハチの蛹になっています。

ミズキの葉にいたヒメヤママユの黒線型。イモムシ先生も生涯3度目。平地では初めて見たそうです。

ヒサカキの葉には沢山のホタルガ終齢幼虫が鎮座していました。
もうすぐにでも蛹になることでしょう。

ヨモギの新芽にとても小さなヨモギキリガの若齢幼虫。

ヒノキの胴吹きをみんなでジロジロ。ようやく見つけたクロクモエダシャク。
擬態のスペシャリストです。

1度しかシャッターが切れなかったモモチョッキリの交尾。
風にあえなく撃沈。

カラムシの群生にフクラスズメの幼虫が彩りみどり。

アメリカフウロにいたケムシはナシケンモン。

湿地でヒメギス幼虫と。

エサキモンキツノカメムシを見て調査終了。

朝9時から18時までみっちり歩き観察したので、帰りの駅までの道のりが遠かったですが、2日間春のイモムシを観察出来たので、大変勉強になり、イモムシレベルがグンと上がった気がしています。
また来年観察するのが今から楽しみです。

























2023.04.30 生田緑地調査

この日は11時から観察会の予定だったのですが、あいにくの空模様。8時に現地に着き、駐輪場からほど近いミズキの葉を見ると

去年と同じか、ちょっと少なくなった印象のキアシドクガ幼虫。

LINEの通知を見ると、イモムシ先生も到着したとあったので、駐車場へ向かい合流。とりあえず観察会で見る予定の中央広場へ向かいます。

広場入口のスダジイで早速見つけたのはビロードハマキ幼虫。

葉を綴るタイプのイモムシで数は多いのですが、コツがわからないと見つけづらいイモムシです。

オオシマカラスヨトウとナンカイカラスヨトウを見分けるコツを、先生に聞きながら、実際にアジサイに付いている幼虫を見比べてみました。

まずはオオシマカラスヨトウ。

そしてこちらがナンカイカラスヨトウです。

どうでしょうか。先生曰く、気門の違いでは見分けられないそうです。

あじさい山の藤棚でキシタバの幼虫を探してみようとなり、フジの蔓を満遍なく見ていくと。

最初に見つけたのはシモフリトゲエダシャク幼虫。背面の突起が目印。

こちらはヒロバトガリエダシャクの亜終齢。終齢になると大分印象が変わるイモムシ。

そして目当てのキシタバ幼虫。蔓にペッタリと付いて擬態しています。

まだ3cmほどで小さい個体しかいませんでしたが、それなりの数が見られました。

 

フジの下にあったツツジを食べていたキバラモクメキリガ終齢。

スダジイ群の方へ移動していると、観察会中止の報が。
僕と先生はそのままスダジイ観察へ。

ひこばえにいたわかりにくい紋のスモモキリガ。

葉裏に小さなイモムシはマイマイガ1齢幼虫。この時だけ毒があります。(ほんと?)

葉の表にいたのはコケガ科の多分シロホソバ。(ツマキホソバかも?)

コブガ科のイモムシを研究している先生の目では次々と見つかります。トビイロリンガの蛹。

沢山の寄生バエの卵が付いていたイナズマコブガ。

他の昆虫班の方たちも到着し、科学館に来たとのことなので僕らも一旦向かうことにしました。

向かう際、シャリンバイにいた大きいイモムシはカバキリガ。

科学館の調査室で先生にイボタガの幼虫をいただきました。

折角なので亜終齢の状態を記念撮影。

エサはトウネズミモチを与えていました。

お昼ご飯を食べて後半戦です。
科学館脇にあるハゼノキが丸坊主。犯人は?

フサヤガの幼虫でした。

同じハゼノキにいたのは、まだ小さなカシワマイマイ

ハゼノキ向かいの花壇にアケビとフジの蔓が混在していました。。

蔓にいたのはオカモトトゲエダシャク。

エゴノキにいたのはヒメノコメエダシャク終齢幼虫。

地面を這っていたのはカノコガ。枯れ葉を食べるそうです。

トベラの葉に隠れていたのはヒメノコメエダシャク。顔が可愛いですね。

ここからはイモムシ以外も。ドウダンツツジの葉に綺麗な翅のガガンボはキイロホソガガンボ



ハルジオンの花が似合うクロハネシロヒゲナガ♀。

 

ススキの葉に営巣中キマダラセセリ

こちらがヒロバフユエダシャク。

暗い林床が似合うヤマトシリアゲ♀。紫陽花の葉上にて。

小さなバッタの幼虫はヤマトフキバッタ?縞々の触角が特徴的です。

ヒメクロトラカミキリによく似ているシラケトラカミキリ。

アジサイの茎には沢山のマルウンカの姿がありました。

エゴノキの定番虫エゴツルクビオトシブミ。

イロハモミジで見つけたクシヒゲシャチホコ幼虫。

イモムシ先生によると、ここでは中々見つからない幼虫のようです。秋に見られる成虫が楽しみです。

ツツジにいたのはチャエダシャクと

シマカラスヨトウの幼虫。

チャエダシャクは白い連なった紋が特徴で、シマカラスヨトウは白い横線が特徴的です。

コナラにいたのは成虫が中々見られないシロトゲエダシャク。

 

同じコナラにオオミノガ。葉と点で繋がるのが特徴だそうです。

ウメにはオカモトトゲエダシャクの終齢幼虫。

シデにヒメヤママユ。

ナツミカンに終齢へ脱皮中のナミアゲハ

スイカズラ近くの手すりにスイカズラクチブサガの繭がありました。

こちらはスイカズラに付いていた何かを食べていたナワキリガ。

羽化したてのツマジロエダシャク。

ツツジの葉にいた小さなウンカはブチヒシウンカ。

七草峠の麓のサクラにクロスジフユエダシャクの幼虫と

アトジロエダシャクの幼虫。赤オレンジぽい気門が特徴。

ハスオビエダシャクの幼虫は背中の紋と尾脚の背面の突起が目印。

 

菖蒲園のヒルガオで久しぶりのジンガサハムシとご対面。

最後にレンギョウにいたシロテンエダシャクを見て調査終了。

ほぼ丸1日いたので、それなりの昆虫が観察出来、実りのある1日となりました。
今年は季節の進みが10日ほど早く、幼虫たちも終わっている種が多かったようですが、それもまた記録で、来年の同じ時期がどうなるのか楽しみです。
















秦野観察会

今日は秦野市にある某所へ観察会に行って来ました。
色々な植物が植栽され、樹名板がちゃんと付いていたり、ひこばえや胴ぶきが良い感じに残されていて、観察しやすく整備されている印象でした。

立派なタイサンボクに案内され見た物はこれ。どれが何かわかりますか?

この画角でわかった方は素晴らしい感性です。
ではもう少し近づきます。

ここまで来たらこれかな?とわかる気がしますが…。

そうです。この実のようにくっ付いているこれがそうです。

これはオオトリノフンダマシという蜘蛛の卵嚢です。
この中に小さな幼体が沢山越冬していることでしょう。
もう1つ同じ蜘蛛繋がりで観察した物をご紹介。

こちらはアオキの枝に巻き付いている枯れ葉にしか見えません。

ここまで近づいても知らないと、ただの枯れ葉の塊ですね。

この3つ連なっているのが蜘蛛の卵嚢です。実際見てもエノキの実くらいにしか見えません。

この卵嚢の蜘蛛は「マメイタイセキグモ」という日本七大珍種蜘蛛の一種なのです。珍しすぎて成虫に会う機会は今後無さそうですが、今回卵嚢だけは拝むことが出来ました。
蜘蛛の擬態力も中々素晴らしいものがありますね。

2023.03.05 神奈川県秦野市






地元緑地 秋の冬夜蛾 後編1119~1128

さて後編トップバッターは蛾ではなく、カメムシ目の昆虫です。
いる場所はかなり前から把握していたのですが、大きさがわからないのもあり3回見ても気づかず、4回目にしてようやくわかった擬態のスペシャリストです。

体長1cmにも満たないであろうコミミズクの幼虫です。

夜間撮ったように見えますが昼間に撮っています。マクロ撮影の本気モードはいつ撮ってもこんな感じに撮れてしまうのがネックな所です。(そのかわりブレずに小さい物を撮れるのですが…)
この日(11/19)の夜は虫友秀星くんと彼の虫友の女子大生も一緒に日暮れから20時くらいまで散策しました。

ケンポナシの実を吸っていたヨスジノコメキリガ。

ハンノキ林にあるクワの木でクワコの繭を探していた時、女子大生の子が見つけてくれたのがこちら。

初見のミツボシキリガ。隠れミッキーのような斑紋があるので通称:ミッキー。


幼虫はエノキで見たことがありましたが、成虫は初めてでした。

フジの実生にいた、とても小さなテングイラガの幼虫。

話ながら歩いている時、足元の葉に違和感を感じ一度は通り過ぎたけど、やはり見ておこうと戻って見つけた個体。7mmほどの幼虫です。キマダラテングイラガかウスイロテングイラガのどちらかのようですが、今の所幼虫では判断できないそうです。

この日のラストはフサヒゲオビキリガ。特徴が余り無く小さめのキリガです。


11/19のあとは一週間空き11/26に伺いました。
最高気温は16℃、最低気温が10℃と少し下がって来ましたが、まだまだ暖かいですね。
この日のトイレはニトベさんが大発生。全部♂のようでしたが、なんと14個体もいました。他にはウリキンウワバとカバエダシャク。ケンポナシにはまたアケビコノハの姿も。

アケビコノハの横にいた小さなコテングアツバ。



見晴台のサザンカには多くのキシダモンキリガがいました。

こちらはちょっと高い位置のサザンカにいたクロチャマダラキリガ。

高い位置のキリガは撮れないので、棒や網でトントンと叩き死んだふりをして落ちて来た所を撮っています。赤い実はイイギリの種子です。

ヒサカキの実が好きなカシワオビキリガ。ここでは3頭見つけました。

今シーズン初見のフユシャク。クロスジフユエダシャク。

シラカシの樹液が枝から染み出ているポイントがあり、この日はそこが良かったようで数多くのキリガが見れました。

ナカオビキリガ。

ハンノキリガ。光沢と斑紋が美しいキリガだと思います。

この他にもカシワキボシキリガやキシダモンキリガ、ノコメトガリキリガの姿もありました。
2日後の11/28。トイレ前の若い桜の樹にノコメトガリキリガが数頭見られました。

多分産卵中だったノコメトガリキリガ。

トイレにはカバエダシャクの雄が2頭、チャエダシャク、ニトベエダシャクが6頭。
近くのサザンカの花には大きめのヤガの姿が。

ハネナガモクメキリガ。この1枚を撮って確認している最中にロスト…。

どこ行った~?とライトを照らし探していると、何か他の蛾っぽいのが地面に落ちて来ました。

緑に輝いていたのはアオバハガタヨトウ。ヨトウという名前ですが、冬夜蛾に分類?されているようです。

見晴台のサザンカにはナワキリガ。

デッキに舞い降りて来たモクメクチバ。

シラカシのポイントへ移動すると、途中のイロハモミジに違和感。

カバエダシャクの雌でした。

この日は途中のコナラの樹液でもキリガの姿が見られました。

漆黒のマントを着たようなハネナガモクメキリガ。

キシダモンキリガとノコメトガリキリガもこのコナラに来ていました。

ヤツデの花に来ていたチャマダラキリガ。

ヒサカキの実には相変わらずカシワオビキリガとノコメトガリキリガが多く見られ、シラカシの樹液にはカシワキボシキリガが6頭、ノコメトガリキリガ、ハンノキリガ、ヨスジノコメトガリキリガ、フサヒゲオビキリガ。
帰り道バス停の蛍光灯に何か来ていないかな?と見ているとマエアカスカシノメイガやツマジロエダシャクが見られ、羽化したてのエビガラスズメもいました。

この日の前日は最高気温20℃近くまで上がり、間違えて出て来てしまったと思われるビカビカのエビガラスズメ。


後編はいちようここでお終いに。もう1日観察に行っている日がありますが、長くなってしまうのと新しい種は見つからなかったので。
11/6から始めた冬夜蛾(キリガ)観察。11/28までに見られたキリガをまとめると
・ノコメトガリキリガ
・ナカオビキリガ
・ケンモンモドリキリガ
・キバラモクメキリガ
・キシダモンキリガ
・カシワキボシキリガ
・ミツボシキリガ
・ヨスジノコメキリガ
・フサヒゲオビキリガ
・クロチャマダラキリガ
・カシワオビキリガ
・ハンノキリガ
・ハネナガモクメキリガ
・アオバハガタヨトウ
・ナワキリガ
・チャマダラキリガ
の16種になりました。
もしかするとスギタニモンキリガもいたのかもしれませんが、確信を持てる個体がいなかったので春にかけての楽しみにとっておこうと思います。
次はフユシャク観察が始まります(^^)/

神奈川県川崎市i


地元緑地 秋の冬夜蛾 前編1109~1116

体調をここ1週間かなり壊していて(今も良くないけど)何もする気が起きず、普段観もしないドラマ(2017年放送の「カルテット」)を一気に観たり、久しぶりに自分のブログを2月から振り返っていたら、意外とちゃんと書いていて読み返すとこんなことあったなーと、書いていて良かったことがあり、書こう書こうと思って延びてしまった、11月の秋キリガ観察をだらだらと思い返しながら書いて行こうと思います。

この時期は「冬夜蛾(キリガ)」というよりも、地元のヒメヤママユに2年ぶりに会いたくて夜を徘徊していました。メインはそちらであり、あくまで冬夜蛾はデザート感覚。今日は(12/15)寒波がやって来ていて最低気温2℃、最高気温も10℃くらいですが、11/9は最高気温こそ18℃でしたが最低気温は12℃。夜間も今の最高気温くらいの暖かさです。

この日は地元の虫友蘭丸さんと待ち合わせて、西口のトイレからグルっと緑地を1周回ったにも関わらず、ヒメヤママユどころではなく、キリガのポイントもイマイチ把握出来ていなくて、出会えたのはキイロヒラタヒメバチとフサヤガくらいだったのを覚えています。

ウバメガシのどんぐりを探していたら、たまたま葉裏にいたキイロヒラタヒメバチ

ウバメガシのどんぐり。浅い帽子(殻斗)が可愛い。たった1つしか見つかりませんでした。

サザンカの花に来ていたフサヤガ。幾化学的な模様と色合いが素敵です。



続けて11/14。この日からちゃんとメモ帳にメモを取りながら観察し始めています。(最初からやってくれ)前日の夜に11月初の雨が降り、この日は曇り最高気温は18℃、最低気温は15℃と高め。それが蛾たちの羽化を促したのか、トイレの灯りにも多数の蛾がやって来ていました。

今年初認のニトベエダシャク。ビカビカの♂ですね。
この時はまだ知りませんでしたが、今年は大発生しました。

「ニトベ」と付く蛾は結構いますが、多分どれも新渡戸稲造さんの従兄弟にあたる新渡戸稲雄さんへの献命です。(リンゴの害虫を研究したそうです)

今期は3度ほどちょこちょこと目にしたツマジロエダシャク。
その名の通り端が白いのが特徴のエダシャクです。

 

この日は2頭いたウリキンウワバ。ウリ科の害虫です。綺麗なんですけどね~。

同定が難しいキンウワバもエゾギク、ウリキン、キクキンはわかるようになりました(笑)


ケンモンミドリキリガ。見事な苔擬態に金粉が美しいキリガです。

結局ケンモンミドリキリガには今シーズンこの日しか会うことが出来ませんでした。1年でチャンスがたった1回しか無いのも、また魅力の1つなのかも知れませんね。

そして今シーズン最も興奮した出会いがこの後起きたんです。
「ケンポナシ」という樹をご存じでしょうか?聞き慣れない樹木ですよね。僕もとある方のブログで初めてその存在を知り、果実がとても面白い形をしていて更に食べられるという事を知りました。地元の県立公園にはその樹があるという情報だけ知っていて、実際見たことがなく、この時期になるとその特徴的な果実を目印に探していました。しかし全く見つけることが出来ず諦めていたのですが、なんとこの夜周りをしている時にその果実が沢山落ちている場所をこの緑地内で見つけたのです。

こちらがそのケンポナシの果実。
白いのが種子で細長く伸びている赤褐色の部分が果実です。


果実をパキッと折ってみるとまさに梨の香りがします。実際舐めてみましたが甘いです。しかし見つけた時はまさかこの果実に蛾が吸蜜しに来るとは想像もしませんでした。このケンポナシの実が落ちている先にサザンカの花が咲いているポイントがあるのですが、そこへ向かう最中ふと振り返ると、シロダモに引っかかっているケンポナシの実に何かがくっ付いていることに気が付きました。(夜蛾は総じて複眼がライトの光を反射するのでそれで気づく事が僕は多いです)

ケンポナシの実に鎮座していたアケビコノハ

羽化したばかりと思われる美しい個体のアケビコノハに圧倒されてしまいました。藪の中でしたが、もうわけもわからないまま横たわり、前から後ろから撮らせてもらいました。

この迫力。太い口吻に発達したパルピ。


この実にはかなり魔力があるようで、この後2時間ほど散策して戻って来ても、まだ同じ所で吸っていました。

ゴンズイの枝にいたキバラモクメキリガ。見事な枝擬態のキリガです。


このゴンズイの樹にはムクゲコノハもいたのですが、遠くて撮れず、一度網に入れようとしましたがあえなくロスト。あとで伺ったのですが、どうやらゴンズイに沢山付いているゴンズイノフクレアブラムシというアブラムシから出る蜜を吸いに来ていたのかもしれません。

もう1つのトイレの壁に止まっていた今シーズン初のキシダモンキリガ。

少し前までは「ヤマノモンキリガ」という和名だったようですが、蛾類学会の岸田泰則さんが発見した種のようで、最近になり和名が変更されたそうです。
類似種にスギタニモンキリガがいます。
このトイレ脇のイロハモミジの葉裏でノコメトガリキリガ、キバラモクメキリガ。アワブキの葉裏でヒメノコメエダシャクを見た後帰り道で

ヒサカキの葉に止まっていたウスキツバメエダシャク。

普段良く見かけるウスキツバメエダシャクですが、11月はこの1回のみの出会いでした。普通種ですがとても美しいエダシャクだと思います。こういう種は疎かになりがちで、幼虫もちゃんと同定出来ませんし、奇主植物もちゃんと理解していないのでダメだなぁと自分への戒めになります。

前編ラストになる11/16。この日から最低気温が10℃を下回り始め、ウスタビガが出始めないかなぁとひたすらルッキングしながら夜歩き回っていました。
まず恒例のトイレにいた初見の蛾から。

翅の形がとても格好良い小さなミナミクロホシフタオ。

クロホシフタオかな?と思ったのですが、イモムシ先生に南方種で最近北上しているミナミクロホシフタオの方ですよと教えて頂きました。

実は初見のエゾギクキンウワバ。白い筋が特徴です。

この日のケンポナシにはハガタクチバがいましたが、高かったのと場所が悪かったので撮るのを断念。コロギスの幼虫も見かけました。(食べにきてたのかな?)

峠のウバメガシの垣根にオオキノメイガ。
ノメイガの中では最大クラスではないでしょうか?

 

サザンカの垣根をしゃがみながらジロジロ。
やっと見つけたのはキリガではなくヒメクビグロクチバ。

ヒサカキの葉裏に初見のカシワキボシキリガ。
この時期見られるキリガの中では唯一無二のカラーリング。

お山のソメイヨシノの枝先に何か違和感を感じ近寄ると、フユシャク!?と思い撮ってみたらまさかの…

羽化不全と思われる♀と交尾していたニトベエダシャクでした。


この後見られるキリガに比べるとまだまだ物足りない内容なのですが、見返すと色々見たなーという印象です。
後編へ続く

神奈川県川崎市i









地元緑地散歩 2022.11.13(日)

快晴の日曜日、1人寂しく地元の緑地まで秋を感じに散歩へ伺いました。

谷戸へ入るとピンク色に色付いたマユミの実がお出迎え。
残念ながらここのマユミは消毒されているのか、ミノウスバを見たことがありません。

真っ赤に染まったガマズミの実。夜になると蛾がやってきます。

田んぼの脇の茂みでミナミアオカメムシを発見。稲や大豆の害虫とされています。

大きな2本のムクロジも色付いて黄葉が美しく。

丸い黒紫色の実はトウネズミモチ

 

その横の赤い実はクロガネモチ。



柵の杭にアキアカネ

緑地へ入ると見頃のメタセコイア下は人だかり。

トチノキの紅葉も良い頃合い。

マユミのポイントへ着き、いないかジロジロ。いましたミノウスバ。

シロヨメナで吸蜜中のキタテハ

園路の通路沿いにヤクシソウ

頭上を見上げるとイイギリの実が色付いて秋景色。

斜面で群生していたリュウノウギク。葉を擦ると香りは龍角散

林床に赤い実はコバノガマズミ。

コウヤボウキのポイントへ到着。もう花は終わりかけでした。

今年は数が多く見られるアカボシゴマダラの越冬幼虫。

あちこちで見られるヤブミョウガの実。

実の中には砂利にしか見えない種子が沢山入っています。

花が少ないこの時期は昆虫たちのオアシス、ヤツデの花。

よって見ると、蜜がたっぷり。昼間はハエやアブが、夜間は蛾が集まります。

帰り道、民家脇の歩道でホトトギスを見て散策終了。


神奈川県川崎市i








地元緑地夜回り 2022.11.06

地元でヒメヤママユに初めて出会った2年前の日付を見返すと11/6とあったので、この日からヒメヤマを探す夜回りが始まりました。丁度晩秋のキリガも発生する頃だし一石二鳥。(しかしここから始まる事をこの時の僕はまだ知りません…)

ヒメヤママユの幼虫は中々な広食性で、基本的にサクラを好む気がしていますが、僕の地元ではカツラ、エゴノキドウダンツツジアケビなど色々な植物で幼虫を見つけたことがあります。(まだ何かあった気がするけど思い出せません。)
あと幼虫は蛹化する際、葉に繭を作るのではなく、降りて潜るタイプだと思っています(飼育の経験上)。なので外灯周りが出来ない今となっては、ルッキングで垣根などに止まっているのを探すか、サクラの枝などに止まっているのを探すしかないかなぁと思っています。
前置きはこのくらいで、この日は珍しく東口から枡形方面へ登り始めました。

枡形山方面を登って行くと、樹液でヒトリガ類の幼虫が吸蜜。

幼虫が樹液を舐めているのは初めて見た気がしますが、非常食なのでしょうか。

足元では沢山のコウヤボウキが可愛く。

エゴノキにいた幼虫はオオアオシャチホコ。初見の幼虫でした。

山頂付近のヤマモモ(モッコクだったかも)の枝にヒメノコメエダシャク。

この時期良く見かける大きめのエダシャクですが、ヒメノコメとオオノコメという種がいます。同定のポイントがいくつかありますが、この子はヒメノコメの♂だと思います。キブシの葉を食べるようで、旧名は「キブシノコメエダシャク」。

看板にくっ付いていたアオマツムシの♀。

シラカシの樹液を吸うノコメトガリキリガ。

ここのシラカシの枝から出る樹液は何故かヤガ科の蛾がよく集まります。幹から出る樹液は好まないようで、必ず枝にいるのです。去年気づいたのですが、この日は去年と同じノコメとナカオビキリガが数頭来店していました。

枝からひらひらと落ちて地面に着地したナカオビキリガ。地面との擬態が驚異的。

トイレの蛍光灯もLEDに取替えられらようで蛾も少なく。いたのはツクシアオリンガのみ。

この後もルッキングで探すも追加は得られず、、
渋めの夜回りになりました。
外灯が1つで良いので欲しいです。。