tame insect diary(仮)

生物多様性とは何か?植物や虫を観察し、探求する親子の日常を綴る

コツバメとミヤマセセリを求めて 2022.03.24

コツバメが出始めたという情報を聞き、県内でも数少ない有数の森へ向かいました。入口では初見の常緑低木の花がお出迎え。

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ミヤマシキミというミカン科の植物のようです。

更に進んでいくと、歩道に何かが横たわっていました。

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外傷は無く、病気で力尽きたと思われるタヌキ。

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タチツボスミレが咲き乱れていて、虫たちにはパラダイス。撮っているとヒラタアブの仲間が。

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露出1/800 絞りf/4 ISO-200でもビロードツリアブの翅は止まりませんでした。

 

ミツマタの花では色々な種類のハチやアブが訪れ吸蜜を楽しんでいました。

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最初に姿を現してくれたのはミヤマセセリ

ミヤマセセリはとても珍しい生態を持っています。4月ごろ孵化した幼虫はコナラやクヌギなどのブナ科をホストにゆっくりと育ち、晩秋になると葉で営巣をして落葉と共に地面に落ち、幼虫のまま越冬するそうです。春が近づくとそのまま蛹になり羽化します。幼虫の期間がこんなにも長い蝶は他にいないのではないでしょうか。

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姿を現したコツバメ。名前には入っていませんが、シジミチョウ科の蝶です。

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とても大人しかったので手持ちハイレゾショットで撮ってみました。

翅の裏側は地味ですが、表側は何とも言えない藍色の輝きを持っていて、飛翔する時にだけその美しさを見せてくれます。(何故か止まっている時は開翅をしません)
良く見ると、脚の腿節まで毛が沢山生えていて毛深いのがわかります。これはまだ寒い早春に現れるので寒さ対策だと言われているようです。
食草はアセビなどのツツジ科植物の花芽。蛹で越冬する年1化の生態なので、環境の変化やその年の気候、採集圧の影響をとても受けやすいのではないかと思います。そのせいか年々著しく生息場所を減らし、個体数も減っているようです。

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ナラ枯れのコナラにいたコマダラウスバカゲロウの幼虫。どこにいるかわかりますでしょうか?

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拡大すると、アリジゴクが苔を纏った姿の様です。

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大きいクワの木に舞い降りたヒオドシチョウ。ほんの少しだけ後翅が見えます。

この日は今年初見の越冬タテハチョウが3種も見れました。ヒオドシチョウはこの証拠写真のみ。舞い降りて来て欲しかったです。

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帰宅してから気づいたビークマーク付きのルリタテハ


あと数ミリの所で鳥にやられていたであろうルリタテハです。
食草はサルトリイバラやユリ科の植物。年に数回発生するので見る機会は多い。一見鮮やかな水色のラインが目を引くが、良く見ると背中周りの構造色がとても美しいです。

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午後だったので体が温まり、機敏になっていたアカタテハ。全く近づけず。。。

食草はカラムシやイラクサ。食草が分かれば葉が綴ってある中に幼虫がいるのでとても見つけやすい種。年に数回発生。ヒメアカテタハと似るがヒメアカよりも大型で背中周りの翅が黒く毛深い所で見分けられます。

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お見送りは越冬明けのツチイナゴ♂

今年の3月目標虫だった念願のコツバメに会え、ミヤマセセリとも沢山触れ合えた良い1日になりました。何よりもツイッターで知り合えたFFさん2人の方に会え、お話出来たことが楽しかったです。トラフシジミとツマキチョウがもう少しすると出てくるとのことなので、近いうちに再来訪しようと思います。