tame insect diary(仮)

生物多様性とは何か?植物や虫を観察し、探求する親子の日常を綴る

キバネツノトンボ 2022.05.10

今年の5月の目標虫にしていた「キバネツノトンボ」「アオバセセリ」「ゴイシシジミ」を探しに行って来ました。
前日まで曇り予報でしたが、当日は晴れ間が広がっていました。今月は珍しく天気予報があてにならないですね。最近の天気予報は精度が高すぎて面白くないので、僕はこのくらいが好きですが。

3種それぞれ目的地は違うので1番遠いキバネツノトンボの生息地から。
レッドデータによると東京都では絶滅。神奈川県でも絶滅危惧I類に指定されているキバネツノトンボ。ネット上の情報によると神奈川県の北部では比較的見られるとのことなので、Googleマップでめぼしそうな所を数か所マークし現地へ向かいました。
高速のICを降りてから下道を10kmほど走った所にある川沿いに着きました。

周りを山に囲まれた河川敷。

川の砂地へ降り歩いていると何かが色々と動きました。
あ!ハンミョウか!!と見てみると

いたのは腹が碧いシックなクモ。キシベコモリグモ。

良く見るとあっちにもこっちにも沢山歩いています。
そして碧いと思っていた腹。実は腹ではなく卵のうのようです。

クモやハエと一緒に動くと中々区別が付きにくいコニワハンミョウ♂。

木陰にいると地味な色合いのコニワハンミョウですが、太陽の光に照らされるとすべての部位が七色の輝きます。構造色の成せる技。

こちらはカップル。砂地が背景だと良い感じに馴染んで気づきません。

牙の色が全て白いのが♂。半分白いのが♀。交尾はまだ出来ていない様子。

素敵な昆虫ですが、とても小さく知らないとただのハエだと思ってしまいます。
そして肉眼だとここまでハッキリと構造色を確認出来ません。
写真ならではの伝達方法ではないでしょうか。


縞々の長い触角と赤い複眼、
鎌のように発達した前脚が印象的なアオヒゲナガトビケラ


河原のヤナギの葉に隠れ潜んでいたアオヒゲナガトビケラ。初めて見ましたが、とても変わった装い。

イタドリの葉上にいたカシルリオトシブミ。

胸にある渦状の模様が特徴の小さな(3~4mm)オトシブミ。良く目にする種ですが、配色と輝きはとても綺麗です。

カシルリオトシブミを撮り終えて歩き出した瞬間何かが飛びました。今まで経験の
無い飛び方をする虫だったのでほぼ確信しましたが、飛翔が速く小さいので目を凝らして必死に追います。ようやく草の茎に舞い降りたその虫は予想通りキバネツノトンボでした。が、証拠写真を撮る間も無く、また飛んで見失う凡ミスを犯してしまいます。
いやー参ったなぁ、、と周囲を歩くと更に2頭が飛び出しました。しかしその2頭も足場が悪く追うことが出来ず。。。思っていたよりも敏感で、色合いも良い感じに草むらと調和し飛ぶ前に見つけることが出来ません。
それでもようやく飛ばれる前に見つけることが出来ました。

人生初のキバネツノトンボ♂。ファーストショットです。


キバネツノトンボ 
アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科
前翅はトンボのように透明で、後翅は黒と黄色のまだら模様で透けていない。チョウのように先が膨らんだ大きい触角が特徴的。オスは腹部の先に鋏状の突起が付いている。トンボやカゲロウ(不完全変態)に似るが全くの別種。本種は完全変態。ツノトンボ亜科の昆虫は本州ではオオツノトンボ、ツノトンボ、キバネツノトンボの3種。


ギシギシの茎にしがみつく個体。

とても驚いたことに、最初に見つけた場所は数がそこまで多くなかったのですが、そこから100mほど奥に行った周囲では、どこを見てもキバネツノトンボしかいないほど密に生息していました。
草むらに寝そべり空を見上げると、何十頭ものキバネツノトンボが舞い踊り、寝そべっている僕の横に舞い降りてくれるのです。

葉先にしがみつき浮いているようにさえ見えます。

近づき方に慣れると、どれだけ近づいても逃げないでくれました。
毛むくじゃらの顔が可愛い。



なんて可愛い昆虫。これで肉食とは到底思えません。

今年は当たり年なのでしょうか?それともこれが普通なのでしょうか?初めて伺った僕にはわかりませんが、来年、再来年と観察しに来てわかることでしょう。
名残惜しいですが、今日はアオバセセリとゴイシシジミにも会いに行かないといけない密なスケジュールです。また来年、もしかしたら来週会いに来るかもと伝えアオバセセリの元へと向かいました。


神奈川県北部